餓鬼に喰わせろ

「餓鬼に食わせろ」とは、比良の山を生活の糧にをする人たちの古くからの言い伝えです。

餓鬼とは

餓鬼とは仏教で言うところの六道輪廻の中の一つで「生前において強欲で嫉妬深く、物惜しく、常に貪りの心や行為をした人が死んで生まれ変わる世界とされています。
餓鬼は常に飢えと乾きに苦しみ、食物、また飲物でさえも手に取ると火に変わってしまうので、決して満たされることがないとされています。」(ウィキペディアより抜粋)
容姿は鬼のような姿をしていますが、人間の目に触れることはありません。

餓鬼に喰わせないとこうなります

ある登山者が武奈ヶ岳に登り 昼食を取るのですが、自分の持って来た大盛りの弁当と菓子類を全てたいらげてしまいました。
その後下山となるのですが、先程、満腹になるまで食べた筈なのに、何故かお腹が空いてきます。

お菓子も含めて食料はすべて食べ尽くしてしまったので、リュックサックの中にはなにもありません。
登山者は体調が悪いのではないかと考えて急いで下山することにしました。 しかしながら下山を急げば急ぐ程、空腹感が増していきます。

登山者は必死の思いで下山し、ようやく登山口までたどり着きました。 登山口に着いた時は、空腹感と疲労で暫く動くことができなかったそうです。

その後、登山口で少し休んでいると徐々に空腹感も無くなり普通の体調に戻ったそうです。
何とも不思議な体験をしたと本人は言っています。

上記の経験談は今から約55年前の古い事案ですが、決してフィクションではありません。

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餓鬼に喰わせろとは

言い伝えによると「山で満腹になるまで食事を取ると、餓鬼が現れ、食べ過ぎた者の栄養分を体内から吸い取ってしまうと言われています。」
また、持ってきた食料を全て食べつくしてしまうと同様の事が起きるので、持ってきたお弁当は少し残しておくのが良いとされています。
これは餓鬼の為に少し食料を残しておくと餓鬼の悪行からのがれられるという意味があるそうです。

山に入る者への「戒め」なのかもしれません

言い伝えとは別に、上記の内容は医学的な考察が存在するのかもしれません。

ですが言い伝えに関しては、山に入る者への戒めだと私は考えます。
例えば、食料を残しておくのは、山中でトラブルがあった時への備えになりますし、一般的言われている「腹八分目」は、健康を損ねないための一つの方法とも言えます。

現在では比良山系の登山道の約30%(個人的な感想です)の場所で携帯電話が使えます。 滋賀県警にも救助ヘリがスタンバイしており、何かトラブルがあっても携帯電話で救助要請を行うことができます。
ですが、昔の比良山系の登山には救助ヘリなどありません。

決して現在の登山が安全になったとは言いませんが、現在と違い、昔はトラブル回避能力を最大限に高める必用があったのではないかと推測します。 それも「言い伝え」が発生した背景の一つだと思いますがいかがでしょうか。

餓鬼に遭ったことはありません

子供の頃から比良山系に数百回登っていますが、私は一度も餓鬼に遭ったことはありません。

登山での食事や食料携行に特別な配慮を行っているわけではありません。
ですが、登山中に焼肉パーティーをしたいとは思いません。 それは、山に対する「畏敬の念」からくるものです。
「餓鬼に喰わせろ」と同様に「山に対して謙虚になる」は、比良山系を楽しむための一つの能力だと思いますが、皆さんはどうお考えでしょうか。

ただ、謙虚であることは人の言いなりになる事ではありません。
パーティーの一員として登山される方でも、登山地図とコンパスで進む道を確認されるのは謙虚さの一つだと思います。

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